近年、オーストラリアの学生ビザ申請が急増する一方で、ビザ審査と見直しを行う Administrative Review Tribunal(ART) に審査依頼が集中。
結果として、“申請 → 不承認 → 異議申し立て” の流れが爆発的に増え、制度全体がパンク寸前になっています。
「何が変わったか」「今後どうなるか」「どう備えるか」を、公式情報や報道をもとに整理します。
もくじ
「学生ビザの見直し申請」だけで 46,590件。史上最大級のバックログ
2025年10月末時点で、ART における学生ビザ関連の見直し申請(不承認後の異議申し立てなど)の数は 46,590件。
これは ART 全体の案件の 38% を占めており、異例の高比率。
また、そのうち 13,000件以上 は「1〜2年もの間、未処理」の状態が続いています。
「ビザを申請した/異議申し立てをしたのに、数か月〜1年以上回答が来ない」が 現実となっています。
参照URL
・50,000 Australian student visas awaiting review after ‘explosion’-News.com.au
・Student-Visa Appeals Backlog Surges Past 50,000, Tribunal Admits It Lacks Resources
長期の審査遅れで人生設計が停滞 「返事が来るか分からない」不安
ARTの責任者である Michael Hawkins 氏も、上院のヒアリングで次のように認めています。
「We simply don’t have the resources to attack the study-visa cohort(学生ビザ関連の案件に取り組むリソースが全く足りない)」
その結果、多くの学生が以下のような深刻な影響を受けています。
- 学期開始に間に合わず、進学を延期/キャンセル
- 就職や卒業後ビザ申請の予定が立てられない
- 永住申請やインターン採用などの予定が不透明に
- ビザ条件維持のために「ブリッジビザ」で待たされる(生活設計が崩れる)
この「ビザ待ち」「見直し待ち」の“見えない渋滞”が、留学生・申請者の人生を“停止状態”にしている、というのが現状です。
なぜこんな大混乱になっているのか 「制度強化 × 申請急増”」のダブルパンチ
混乱の背景には、以下のような構造的理由があります。
① ビザ審査と拒否基準の厳格化
学生ビザの審査基準が強化され、不承認(Refusal)や取消が増えているため、見直し申請(Appeal/Review)が急増。
② 留学生数の急回復・増加
コロナ後、学生ビザの申請が急増。結果として ART に来る学生ビザ関連のレビュー依頼が急増。
③ ART の構造的リソース不足
ART は元の審査機関(Administrative Appeals Tribunal, AAT)の後継。新体制に移行後、古い案件の引き継ぎと新規案件の両方で手いっぱい。制度改革費用がかけられたにもかかわらず、スタッフが大幅に不足しており、処理に追いついていない。
このように、「制度を厳しくした」だけでなく、「需要(申請)が急増した」「人手が足りない」という三重の圧力が、今の混乱を生んでいます。
日本人を含むオーストラリア留学への影響
この混乱は、特に以下のような方たちに大きなリスクや不安をもたらしています。
■すでに学生ビザを申請中、または異議申し立てをした人 → いつ結果が出るか分からない
■来年以降の入学を考えている人 → 入学タイミングがずれる可能性大
■卒業後の就職・永住を見据えている人 → 将来設計が立てづらい
■代替手段(他国留学、就労ビザなど)を検討している人 → 選択肢を早めに検討
つまり、「いつビザが下りるか/下りるかどうか」が不透明な状態 が、2025年末時点で標準レベルになっており、これ“今、オーストラリアで留学を考える人全体のリアルな現実です。
オーストラリア留学を考えている方へ — リスクを少しでも減らすための備え
この状況を踏まえるなら、以下のような対策・心構えが重要です。
■早めに動くこと — コース受講許可(CoE)を取得できたら、すぐビザ申請準備をする。
■入学・学期開始まで時間に余裕を持つこと — 万が一ビザが遅れても対応できるようスケジュールに余裕を。
■書類を丁寧かつ確実に揃えること — 英語力、財政証明、進学目的など、審査で重視されやすい部分をきちんと。
■代替プランも視野に入れること — 他国留学、他国のビザ、別の進路など、プランBを考えておく。
■最新情報を追うこと — 条件変更、制度改修、ART の状況などは頻繁に動いている。常に信頼できる情報源をチェック。
最後に:状況は混沌としているが準備次第で「安全な道」はある
現在、オーストラリアの学生ビザ制度は「混雑と管理強化」によって混乱の渦中にあります。
一方で、これは「留学生を拒否する」という意味ではありません。
これから留学を考えている方は、情報をアップデートし、慎重に「計画+準備」を進める必要があります。
今回まとめたように、オーストラリアの学生ビザ周りは、いま少し揺れが大きい時期です。情報も更新が早いので、「これで合ってるのかな?」と迷う瞬間が出てくると思います。
もし、進学時期や手続きについて不安があれば、一度プロに聞いてみるだけでも気がラクになるはず。
その意味で、
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