ひとつ前の記事(2021年チャイニーズニューイヤー(旧正月・春節) 中華系マレーシア人の縁起を担ぐ習慣・過ごし方)を書いているときにふと、
「なぜ日本は旧正月を祝わないのか?」
という疑問がわいてきました。
日本も昔から中国の影響をかなり受けてきたはず。
お隣の韓国だって旧正月は盛り上がっているのに、なぜ日本は1月1日のお正月だけを祝うようになってしまったのでしょうか?
そんなことを調べていたら意外な答えにたどり着きました。
もくじ
日本はなぜ旧正月を祝わない?理由は人件費削減!?
明治維新以前、大正時代の後期までは日本も「旧暦」を採用し、お正月といえば「旧正月」のことでした。
旧暦は月の満ち欠けを基準に1か月を区切るので月の日数は29.5日となり、「うるう月」(1年が13か月になる)となる年が3年に1回あったのです。
明治6年・新政府が立ち上がって間もなく明治政府は財政難に陥りました。
旧暦の給料体制のままだと月給を13回払わなければならない年がある、ということで、暦を西洋社会と同じく「新暦」に改訂し、人件費を削ったいう説があります。
また、明治時代には脱亜入欧の風潮もあり、アジアで広く認識されている旧暦が時代遅れだとみなされていたことも手伝って、明治政府はばっさりと旧暦を廃止してしまったのです。
「新暦変更の詔(みことのり)」を天皇陛下が自ら通達したことで、「新暦」の方が正しいという認識が日本国中に広まりました。
昭和20年代~30年代までは旧暦でお正月をお祝いする風習が残っていた地域もありました。
しかし、会社勤めをする人々が増加し「旧暦のお正月は会社が休みにならない」という理由から旧正月を祝う習慣は廃れていったのです。
沖縄では旧正月を祝う地域もあります
沖縄県(名護市、糸満市など漁師町が特に顕著)、南西諸島を除く日本の旧正月は、一部の神社の祭典や寺での行事が残っているのを除いて特に話題に上ることは少ない。
しかし、マスメディアで時々報道されるため、日本でも旧正月という言葉自体は残っている。
(引用:旧正月ーWikipedia)
本土復帰前に当時の政府(琉球政府)が「新正月一本化」として、本土と同じく新暦のお正月を推奨し、新正月が主流となりました。
その一方で現代でも旧正月・新正月の両方を祝う家庭もあります。
といっても、アジア諸国のように学校や会社が休みになったりお店が閉まることはありません。(※旧正月の風習がさかんな糸満市内の小中学校・高校はお休み)
年越しそばに「ソーキそば」、年明けには泡盛をいただき、漁港には縁起の良い大漁旗がなびくのが沖縄の旧正月の特徴です。
マレーシア・シンガポールではお正月は年4回!?
多民族・多宗教で国家が形成されているマレーシア・シンガポールは「お正月」が年に4回も訪れます。互いの宗教・文化を尊重し、お祝いを楽しみます。
新暦
1月1日の新暦でのお正月です。
中華系マレーシア人の私のパートナーいわく「別に特別なことはしない」とのこと。我が家でもテレビで新年の花火を見ていたらいつのまにか年が明けていた、という過ごし方です。
旧暦
中華系マレーシア人・シンガポール人にとっての大切なイベント「チャイニーズニューイヤー」です。
赤を基調としたデコレーションが街中にあふれ、昼夜関係なく爆竹がなり、ショッピングモールではライオンダンスが人々を魅了します。
★詳しくはこちら→2021年チャイニーズニューイヤー(旧正月・春節) 中華系マレーシア人の縁起を担ぐ習慣・過ごし方
イスラム暦
イスラム教ではヒジュラ暦と呼ばれるイスラムの暦を採用しています。
暦による新年より、断食明けのハリラヤ・プアサの方がイスラム教のお正月と認識されているため、お正月より盛大に祝われます。毎年6月~7月に訪れます。
ヒンドゥー暦
ヒンドゥー教のお正月は「ディパバリ」と呼ばれ「ヒンドゥー暦」によって毎年10月下旬から11月に訪れます。
まとめ:なぜ日本は旧正月を祝わない?=「人件費削減説」が有力
日本が旧正月を祝わない理由は「明治政府による人件費削減」という説が有力。
その一方で沖縄では旧正月が地域に根付いたエリアもあり、世界に目を向けるとマレーシア・シンガポールのように年に4度もお正月がある国も。
たいていの日本人にとってはお正月といえば新暦の1月1日だけですが、場所が変われば「お正月」の風習や認識がガラッと変わるのがおもしろいですね。
横浜や神戸などの大規模なチャイナタウンがある街は旧正月も盛大にお祝いしているので、お近くにお住まいの方はぜひ華やかなチャイニーズニューイヤーも体験されてみてはいかがでしょうか。
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